まだ高校生の頃に、ライブハウスに出演料を千円くらい払って誰でも参加、または出演できる
1組3曲しばりのオムニバスライブにしょっちゅう顔を出していた。
学生は¥500だったかな。

もちろん歌わせてもらっていたし、色んな人の思いのままの演奏をそこで観た。

ステージで感極まって下半身出しちゃう人、ラリっているのか狂気乱舞の叫ぶ人、どこまでもナルシストな人、挑戦しにきている人、とにかく色んな人がそこに出演していた。

ある時ステージで木魚を叩いて自分の不平不満をお経風に歌いながら狂ったように騒ぎたてる坊さん姿の人がステージに現れた。

その不平不満はまるっきり芯をくってなくて、ようするに約3曲分の自分本位な不平不満を聴かされた時に、高校生の僕は何だかすごく悲しくなってしまって泣いたのを覚えている。

感動とは真逆で、罵声をあびた時のような悲しい感覚だった。
そんな大人が怖かったんだと思う。
彼は僕が泣いていたのがステージから見えたのか、演奏後に近寄って来て
「感じてくれてありがとう」
って言われて、複雑な気分だった。

先日、俺のライブにお母さんに連れられ
二人の娘さんが来てくれた。
多分大学生と高校生くらいの女の子。

会場はお客さんと近いアットホームな雰囲気。
彼女達は目の前。

自分の『未来と』という曲を演った時に、いつにもまして気持ちも入り、歌声も最近じゃないくらいばっちりだった。
演奏している時の動きもそれに応じて大きかったと思う。

歌詞の内容は、君が選んだ道がどんなでも君が選んだのなら僕はそれが好きっていうような。

演奏中、間近にいたその高校生くらいの女の子が目に入った瞬間、泣いているのがわかった。
真剣な顔で、ほっぺたには涙がつたっていた。

演奏が終わり、ふと頭の中であのお坊さんの映像がよみがえった。

もしかして、俺はあのお坊さんと同じように怖がらせてしまったんじゃないのかな。

もしそうだったのなら悲しいな。

そうじゃなくて感動してくれていたのかな。
色んな事を思ってしまった。

でも受け取り方は俺が選べないしなあ。
このまま俺は自分が信じている方向へ
進むしかないな。

思考停止だけは絶対にしないようにしなきゃ。

高校生かはわからないけど来てくれた君へ
前置きが長かったけど、それでも

感じてくれて、ありがとう。

あの頃みたお坊さんと真逆だったらいいな。

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